男の一人旅

人生の一頁(男の一人旅)

 佐々木洋介は今年で三十代の仲間入りをする。大学を卒業し、マーケッティングリサーチを業務とする会社に入社し八年、主任になった。
 食品関係の新しい商品開発に関する、素材調査の担当になった。主な食材としてオクラを使う事にしてみたところ、日本で一番の生産地は鹿児島県指宿市であった。洋介は、まだ鹿児島も指宿も行った事はない。この際、旅行も兼ねて,オクラの生産地指宿を訪れる事にした。
 インターネットで調べると、羽田から航空機で一時間半で鹿児島空港に着く。指宿までは直行バスがあるが、出発の間隔が一時間以上ある。現地に着いてからの行動を考え、空港でレンタカーを借りる事にした。
 鹿児島空港は霧島連山に近く、高速道路が鹿児島市内まで続いている。高速を走り始めると、左手の畑の先に桜島の雄姿が見える。何と噴火した!見る見るうちに噴煙は巨人のように立ち上がる。車を止めてその情景をカメラに収めた。帰ったら職場の皆に、桜島の力強さを見せよう。
 30分ほど走り、国道226号線を左折して15分走ると海岸線に出た。桜島を左後方に錦江湾添いを南下。道路標識が『指宿市』となり、坂を登りつめた所に道の駅がある。
車を止めて、建物の扉を開けると広い野菜売り場に、土の香り豊かな作物が並んでいる。
オクラは一番の場所と量を誇っている。聞けば今が一番の最盛期との事。
 今日は疲れているので、ホテルにチェックインして、有名な砂むし温泉に入ろう。明日市役所を訪問し、生産者を紹介して頂き、出張の目的を果たそう。予想以上に豊富な情報と材料が手に入りそう!
 ホテルはロビーからは右手に開聞岳。その優美な姿をシルエットに真っ赤な夕日が沈む。
 都会では見られないサンセット!
 大自然は人の心をこの様に包み込み、慰めてくれるのか。自分もこの自然界の一員。人生に迷ったら大自然に答えを貰おう。
 今回の出張で今まで気が付かなかった大きな何かを感じる男一人の出張旅行である。

Back to Top